僕と人生を変えたバンドのお話
人生を変えた〇〇、聞き方によってはすごい良い事のように感じるけど本当は「人生が変わった」んじゃなくて「人生が狂った」だけなのかもしれない。
僕は多分そう。音楽に人生を狂わされた。
でも嫌だとは思わないからこれは「人生が変わった」の方が適切なのかもしれない。
Kidori Kidori。僕の人生を狂わせたロックバンド。
始まりは2014年に父と言ったRUSH BALL。
当時はスガシカオとフジファブリックしか聴いてなかった僕にとって、音楽フェスという存在はとても新鮮だった。
見たことも聞いたことも無いような音楽が溢れ、脳みそのキャパシティを悠々と超えるほどのジャンルレスな音楽の洪水。
それが最初の印象。
その中でも僕の中で印象に残っていたのはKidori Kidoriだった。
彼らはRUSH BALLの所謂サブステージ、「ATMC」というステージに立っていた気だるそうなもじゃもじゃ頭と優しそうなモヒカンの兄ちゃんとメガネのベーシスト(元andymoriの藤原さん)という編成。
RUSH BALLに行く前に父と曲をチェックしていて、the band apartとKidori Kidoriを天秤にかけていた。
割と即答でKidori Kidoriを選んでいた気がする。
高校一年生の僕にとってバンアパの音楽は高尚すぎたのかもしれない。
その年のATMCステージはほんとに色が濃くて変なバンドがいっぱいいた気がする。Kidori Kidoriの前が確か神聖かまってちゃん。その前はtricot。その前がNorthern19だったかな?SHISHAMOも確かいた気がする。
ほんとにジャンルレスで色んなバンドが自分たちの音楽を鳴らしていた。
そんな中でKidori Kidoriは当時UKロック、バチバチのブリティッシュな音楽をしていた。
気だるそうなもじゃもじゃ頭が歌っていた「テキーラテキーラ」は変な曲だな〜くらいにしか思ってなかったし、MCはドラムの人との漫談みたいなゆるい感じ。ほんとに変なバンドだなって思ってた。
ただ最後に演奏した「Come Together」で僕の中の何かが完全に弾けた。
5拍子を主軸としたリズムテンポにノイジーかつ鋭いサウンドに僕の心は鷲掴みにされ、瞬く間に彼らの虜となった。
全バンドが終了して家に帰ってからずっとその曲を聴いてた。
その2週間後くらいにCome Togetherが収録されている「El Blanco 2」を購入当時はiPodがあったからCDは擦り切れてはなかったけど、CDプレーヤーでしか音楽を聴けない時代であれば確実に擦り切れるほど聴いていたであろうレベルで夢中になって聴いた。
その後、1st,2ndアルバムの「El Primero」「La Primera」をレンタル。
今までじゃあ考えられないくらい音楽に夢中になり、Kidori Kidoriの音楽を軸にして様々な音楽を聴き漁った。
まさに彼らは僕にとっての「青春」であり、人生を形作る上でのキーとなる人物であった。
しかし、今までサポートをしていたベースの藤原さんの終了と共に現れた汐碇 真也(ex.BAND A,Yap!!!)。
こいつがかなりなんというか、ある意味キーマンだった。
彼は半年ほどのサポートを経て正式メンバーになった。
それから彼らの音楽は変わってしまった。
今までのノイジーなサウンドにマヌ・チャオに影響を受けたエッジの効いた社会的な英語歌詞が一変、ドリーミーなサウンドを基調としたゆるい日本語歌詞を主軸としたCD、「!」(雨だれ)を発売した。
元々マッシュは細野晴臣フォロワーなうえ、日本語歌詞も書いていたので別段おかしいことではなかった。
でも、少し拍子抜けした部分はあった。
これを期に、僕はKidori Kidoriと少し距離を置いた。
(その後、様々な音楽を聴き始めた僕はPELICAN FANCLUBとも出会う)
ところが、正式メンバーになって半年くらい経ったある日、脱退を発表した。
理由は「人間関係の不和」。
仮にそうだとしても言わないのが筋だと思っていたし、本当に彼のことが僕は嫌いになった。
その後、Kidori Kidoriは2ピースとして活動を続けることを決めた。
その時の企画にも行った。3月、ライブハウスは心斎橋にあるPangea。
対バンは「Helsinki Lambda Club」でO.Aは「Slimcat」だった。
そのステージでのKidori Kidoriは、本当にかっこよかった。
2人でもかっこいい音楽は出来るんだなと興奮したのを覚えている。
ただ、全体的にバンドの終わりみたいなものを感じざるを得なかった。認めたくなかったけど。
その4ヶ月後の7月にKidori Kidoriは本日付けでの解散を発表した。
急な出来事ではあった。でもあのライブで見た彼らを見ていると長く続きはしないだろうと思っていた部分はあったので複雑だった。
1度始まったものはいつか終わる。
それはわかっているけど、あまりに僕の彼らによる情熱と愛が大きすぎた。
もうあのライブが見れなくなるのかと考えると「なんだかもう」という気持ちでいっぱいになった。
今では僕もサークル内だけとはいえ、バンドを始めた。
2ピースバンド。
確実に影響はされてる。
むしろバンドの核的存在である。
The Mirrazの畠山がArctic Monkeysを崇拝するように僕もKidori Kidoriを、塔本佳祐を崇拝し、いつまでも彼らの背中を追い続けているんだなと思った。
今日はなんかそういう日。
「Just because no one knows.
Don’t be afraid to expose.
(誰も知らないというだけで剥き出しにすることを恐れるな) 」